笑いプロジェクト

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笑う力を育むまち

 かれこれ10年近く、毎年3月に演者を派遣してる落語会が2件ある。

 

 ひとつは落語のまち池田の公団マンションの自治会。コミュニティカフェを担当することになった、時の自治会長の発案。素敵なホールがあるので、ここでカフェをしてみんなが集える場所にしようと始めた。この公団は、山の中腹にあって、高齢になるとどこに行くにもバス利用を強いられる。行きはヨイヨイ帰りは怖いなのだ。出不精になりがちになるだろうという、近い将来を睨んでの構想。カフェなら、住民有志で運営できる。珈琲と地元のパン屋さんから仕入れたパンで、集って、顔見知りになって、普段でもお声がけし合う仲になってもらおうという試み。その中のひとつのプログラムのうちの一回を落語会に当ててくださった。

 

 以来続いてる落語会。かれこれ15年くらいだうか・・もっとかもしれない。最初の頃はパキパキと高座を組み立ててくださっていたおじいちゃんがいつの間にか客席に座る側になってしまったり、おばあちゃまに代わって若いお嬢さんが珈琲立ててくださったり、しゃくしゃく歩いてたのに杖が手放せなくなってたり。代替わりしたり様子はかわったり、色々変化はあるけど、変わらず通い続けてくださる住民の皆さん。

 最初はなかなか人が集まらなかった。珈琲飲んでだべりにはくるけれど、落語はBGMなんて人も多くて、喫茶側の椅子は満杯なのに、高座の側はガラガラ。なかなか笑い声がおきない。「面白くなったのか」とドキドキしながらアンケートを見たら、「面白かった」と書いてある。そんな寄席だった。

 それがだんだん高座から席が詰まっていくようになった。「珈琲は後にするわ。笑うと喉渇くから」というてくれるようになってきた。

 そして屈託なくよく笑ってくださるようになってきた。「笑う」のって実はとっても難しい。頭はおもしろいと思っても、心は笑っていても、顔や声や体に出ないことがままある。特に初めてのもの(落語)や、初めての場では、心にタガがかかって、笑うという行動につながりにくいように見受ける。

 それが、隣の人が笑うにつられて笑って笑いの場が広がり、落語って笑っていいんだなと(たぶん)体が覚えて笑えるようになり、笑いが広がる楽しい空気に包まれるようになっていく。

 こうなると演者ものってくる。もっと近くなりたい、もっと笑って欲しいと、積極的になっていく。

 

 演者にも心地よい世界となり、また来年よんでねと頼まれる素敵な場に育っていっている。

 

 もうひとつの落語会のお話はまた今度

✳︎写真の女性は地元で活躍するアマチュア落語家さん。本業は居酒屋の女将さん。落語が終わってから来てくださったお客さんもいたらしい。嬉しいことだ。

 

 

商店街アドバイザー ユーモアコンサルタント

堀登志子