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先日、日本笑い学会第59回研究会が龍谷大学で行われた。テーマは「日本史で笑い解く古典落語」。講師は大阪天満宮文化研究所所長 高島幸次先生。
落語を二題聞いた後、鼎談に続き、先生の講義と盛りだくさん。
落語は「つる」と「佐々木裁き」。「つる」は関西大学落語大学に入学した時に初めてお稽古したネタ。一年生の必須科目だった。アホが中途半端に無理をして失敗するという定番のお話。深みも何もないといえばそうなのだが、落語の基本が詰まった話として一年生には良いお稽古となった。二題目「佐々木裁き」は時代劇の一幕のよう。主人公のしろちゃんが小気味良いお咄。
この軽いのと重いのと二題で笑った後、先生が掘り下げてくださる。
それぞれを比較しながら、なぜこの咄が江戸時代から連綿と生き残って、今でも笑わせてくれているのか。時代とともに生活も環境も変わっていっているのに、落語の世界は、人を引き込み笑わせる力があることの不思議がだんだんと見えてくる。使われなくなっていく言葉もある。見たこともない道具もある。落語は口伝だから、理解できなこと、笑ってもらえないことは演者がどんどん変えていける寛容性がある。なるほど。だから年齢や生まれた国に関係なく、誰でも取り組むことができるんだ。
そして先生のお話で最も心に響いたこと。「落語は弱者への優しい眼差しに満ちている。だから生き残っている」という言葉。無筆をネタにした落語がある。でもそれは「書けない」ことを笑うのではなく、「書けない主人公があれこれ勘違いしたりごまかしたりすること」を笑っている。読めないことを笑っているのではなく、機転の効いた言い訳したり、一生懸命に画策したりする様子を笑っている。そんな姿を温かく受け入れる寛容な世界。だから、社会規範が変わろうと環境が変わろうと、落語は生き残っていっている。
池田市で、地元大学阪大落研や市立小学校の校長先生や、子どもに落語を通じて心を育んでもらおうと取り組んでいる「池田こどもお笑いプロジェクト」。ここでも同じことが語られている。「落語は人をけなさない。貶めない」だから「こどもにも楽しんでもらいたい。そんな世界を体験してもらいたい」と。
このプロジェクトで私は、落語家を育てようなんて気持ちはさらさらなくて、ただこどもたちに屈託なく人を笑わせる体感をしてもらえたらいいなと思って取り組んでいる。
日本笑い学会第59回研究会。お話は「落語の当代性と歴史性」について語ってくださった。そのお話はまた今度。
商店街アドバイザー ユーモアコンサルタント
堀 登志子